内科医が使用する道具
聴診器の役割と機能
内科医の方が使う聴診器は心臓や肺などの音がよく聞こえるように設計されている器具です。電気などを使っていない器具ですが聴診器が発明されたのは19世紀になってからで、それまでは体に異常があった際肺や心臓から異音が聞こえることこそ知られていましたが、直接皮膚に医師が耳をたてて音を聞いたり触診でしこりを確認したりという方法で診療がなされてきました。聴診器で聞く音は心臓のドクンドクンという低音から肺に異常があるさいのヒューヒューという空気の漏れる高音まで広い周波数に及ぶので、現在の聴診器はさまざまな体の異常を感じ取れるよう構造に工夫がなされています。もちろん、聴診器を扱う医師の技量が優れていなければ聴診器をあててもその以上を察知することはできません。
医師が頭につける器具は「額帯鏡」
医師といって多くの方がイメージするのは、頭に小さなCDのような光鏡をつけている姿です。これは額帯鑑という器具で、周囲の光源を医師の目元で反射させ、暗いところでもしっかり見えるようにする役割があります。実は、現在の内科医はほとんどこの額帯鏡を装着していません。そもそも病院は電気で明るく照らされているのが当たり前になっていますし、口の中を診察する時も昔と違って小型ライトなどで明るく照らせるようになっています。耳鼻科医の方は暗い鼻の中・耳の中を診察するので、今でも額帯鏡が現役で活躍するケースは少なくありません。しかし、医師といえばいまだにこの額帯鏡をつけているイメージが定着してしまっておりイメージイラストなどでは医師のシンボル的に額帯鏡が描かれることも多く見られます。
新型コロナ肺炎で活躍するスパイロメーターやパルスオキシメーター
新型コロナウイルスの影響で注目されるようになった内科の医療機器がいくつかあります。その一つは肺機能を検査するスパイロメーターという器具です。患者さんに息を深く吸ってから吐いてもらい、その呼気の量や呼吸に要した時間などから肺の機能を診断するのに使用されます。肺気腫・ぜんそくなどで肺機能が著しく低下している患者さんに対して用いられることが多いです。パルスオキシメーターという器具も注目されています。血中酸素測定器といった書かれ方をされることも多いです。コロナではそれまで元気にしていた方が突然救急治療室に入り、そのまま亡くなるといった例が数多く報告されてきました。そのため、重症化リスクを図る助けとして血中酸素濃度を簡単に測定できるパルスオキシメーターが注目されています。ただしコロナ感染をパルスオキシメーターで判断できるわけではなく、パルスオキシメーターで軽症・重症の判断がすぐつくというものでもありません。